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2021年05月07日

【動画】2021年度大学入学共通テスト《英語》


英語を教えております黒谷と申します。

今年初めて行われた共通テストの特徴と今後の対応策をご説明します。

リーディングパートとリスニングパートがありますので、まずはリーディングパートの方から解説をします。

去年まではリーディングパートのことを「筆記」と呼んでいました。筆記問題の合計の配点が200点だったんですが、半分が文法的な要素から作られていました。 つまり100点分が文法問題要素、100点分が読解問題要素だったということです。

試行問題の時からそうなっていましたが、共通テストでは全問読解形式でした。いわゆる文法4択問題などは、まったく出ていません。すべて長文読解問題です。 また、センター試験では「ここに答えがあるよ」っていうところが1か所であることが多かったので、本文を読んでいて、「あ、これ答えだな」と思ったらその都度解けていくというものでしたが、今回の読解形式の問題のうち何題かは、解答の決め手が分散しているパターンが出てきました。

さらに、英語の文章だけを読んで答えるのではなくて、表やグラフ、図などの情報と一緒に、内容を処理できるかどうかを問う問題が出ていました。

また、今までのセンター試験では、1問に対して答えが基本1つでしたのが、共通テストでは解答を2つ選ばせる出題もありました。

すべて読解問題になったせいもありますが、総単語数が5,500語になりました。筆記は80分ですから、80分で5,500語を処理しながら内容を考える、場合によっては計算をするということになります。実は、センター試験最後の年と比べると1,200語もアップしています。 学校の教科書のLesson1つ分がだいたい500語程度ですから、Lesson10個分くらいを80分で処理できないといけないということになります。いきなり今年になってそんな変化があってか、200点で全国平均がセンター試験最後の年は123.3点、約6割ですね。それに比べて今年は116.3点。かなり低くなっています。

センター試験で6割を切ってしまうと、国公立で出願できる大学が減ってくるというのがこれまででしたが、平均でマイナス7ポイントですから、難度の高い試験、80分で解き切るにはかなりの英語力が求められる試験になったといえます。

対応策は、時期によって変わってきます。高校の授業でも夏休みが終わったら実戦対策でどんどん練習して量をこなしていくことが多くなります。皆さんの実力が伸びてくる前の9月までにやっておいていただきたいことを4点用意しています。

まず1つ目は、単語力の徹底です。単語数も5,500語と多くなっていますし、センター試験の時に比べると単語の難易度が上がっています。よく生徒にも「単語帳で何番まで覚えたらいいか」と聞かれますが、センター試験と二次試験はあんまり単語を覚えないといけない量を分ける必要はないのではないかと思います。私立大学や国公立大学の二次試験に向けて単語力を徹底的に上げていくことが、共通テストにも役立ちます。

2つ目は、一度で本文内容を把握することです。家で長文の勉強をしているとだらだらなりがちということもありますが、単語の意味を調べて何回か読み直して初めてその文章の意味が分かる、あるいは文章を見直してみて改めて意味が理解できる方が多いのではないかと思いますが、80分で問題を解かないといけないので、1回で内容や注意点が分かるようにならないといけません。最初は難しいですが、一度で文章内容を把握しようとする姿勢を普段から持って、長文問題や予習に取り組んでいただきたいです。

3つ目は、先に問いを確認することです。模試などで本文をすぐに読み始めてしまうと、単語量も多いので集中してすべての情報を頭に入れて解いていくことが難しくなります。どのあたりが設問に関係するのかを、先に問い見て確認しておくことが重要になります。よく「選択肢も先に確認しておいた方がいいですか」と質問を受けますが、基本は問いのみの確認で大丈夫です。しかし、抽象的な問いに関しては、読んで分かりにくい場合は、選択肢の中に出てくる繰り返し出てくる単語、例えば犬の名前や同じ動作など、共通して選択肢の中に出てくる言葉を、前もってチェックをしてから読み始めたほうが良い可能性が高いです。そうすると、答えに関係ない情報への注意を減らしながら、つかえることなく読解しやすくなります。

4つ目は、選択肢の抽象度についてですが、これが非常に重要になります。本文の内容は分かっても、選択肢問題で間違える生徒は少なくありません。一般的に4つの選択肢の中には、具体的なものと抽象的なものが混ざっています。例えば、選択肢1はアイスクリームだけだが、選択肢2はチョコチップがかかっている、選択肢3はコーンシュガーがついているといった詳しい情報が入っているという場合、今までのセンター試験や共通テストでは、抽象度が高いもの、つまりあまり詳細な情報が入っていないもののほうが正解になるという傾向があります。具体的になるほど、問題作成者は間違える要素を入れやすくなるのです。だから普段の問題練習の時から、この選択肢は他の選択肢に比べれば含んでいる意味合いが広そうだといった抽象的な選択肢を判断する練習も意識してみてください。

高3生も受験生になったばかりですし、高1・高2生はこれから入試の基礎を作っていく時期です。もちろん、たくさん練習を重ねれば慣れは早いのですが、英語の場合、共通テストはもちろん、私立入試や国公立大学の二次試験で必要になる方が多いので、夏までは少し落ち着いてこの4点を押さえながら、基礎力やすべての試験に対応できる力を身につけていただきたいと思います。

では、次にリスニングの傾向と対策についてお話させていただきます。リスニングはリーディング以上に気にされている方も多いでしょうし、高1・高2あるいは中学生の中には苦手意識を相当強く持たれている方も少なくないかと思いますが、共通テストになって、一番難度が高くなったのはリスニングと言ってもいいのではないかと思いますので、計画的に対策を行っていきましょう。

まずはネットに出ている問題や音源を聴いていただくことをおすすめします。リスニングの読みあげ語数は、約1,500語です。リスニングは30分ですが、問題を解く時間もありますので、英文を読んでいるテンポは非常に速いということが分かります。昨年と比べて語数は400語増えました。リスニングも本文が長くなりましたが、試験時間は変わりません。

リスニング30分の前半は、難易度は標準で、問題は2回流れます。1回目のあと、2回目が流れるので、聞きそびれた部分や自信のない部分をカバーできます。しかし、後半は難しいうえに、問題が流れるのは1回のみになりました。センター試験では、すべての問題で2回流れていましたが、共通テストでは後半疲れて難しいのに1回しか流れなくなりました。さらに、表や計算を含む問題もあり、特に計算は英文を聞きながらしなければならず、桁が多い計算もあります。また、このような問題は1、2題ではないので、リスニング問題は難度が高いということが分かっていただけるのではないかと思います。

リスニング50点満点の全国平均は、2019年は31.4点でした。例年に比べると比較的平均点が高い方ですが、それでもやっと6割でした。しかし、2020年は28.8点と6割に届かない点数となっています。全員リスニングの点数が取れないのではと思われる方もいるのではないかと思いますが、大学によっては英検取得級により満点とみなすところも何校かあり、私立大学では加点があるところもあります。加点などが何もなく、本番で6割しか取れないとなると、他の科目に比べて点数が悪い科目になる、いわゆる足を引っ張ってしまう科目になってしまうわけです。

そんなリスニングの対応策ですが、テクニックですぐに点数が良くなるという要素がリスニングにはありません。リーディングには、何個かアドバイスをすると一気に点数が上がる人もいますが、リスニングにはそういうことがまずないです。リーディングあるいは他教科以上に個人差が出やすくなります。3、4か月で点数が取れるようになる人もいれば、半年あるいは7、8か月かかってしまう人もいます。また、苦手意識がある人とそうでない人もいます。だからまず皆さんがどういう状況なのかということを担当の教師とぜひご相談ください。

リスニングの練習は夏休みくらいから始めましょう。夏休みから始めて、7月~12月と、平均すると半年くらいは必要になります。
まず、リスニングは毎日20分学習しましょう。ここで大事なのは毎日学習することです。「昨日長めにしたから、今日はやらない」ということがリーディングではあると思います。リスニングは筋力と同じで、やらない日があると力が落ちてしまいます。だからやり始めたら毎日やる。クリスマスもお正月も、毎日してください。適切な時間は20分くらいです。集中してすると20分でも大変だと思います。

次に、とにかく音源をまねて話しましょう。聞き流すとうい練習もあると思いますが、聞き流してしまうと相対的には良くなりません。英文を聞くことに集中していませんし、聞き流す時に聞く音声は比較的日常会話的なものが多いです。テレビや雑誌など、聞き流していれば力がつく教材もありますが、そのほとんどは会話形式です。しかし、センター試験や共通テストのリスニングは話が読まれる朗読タイプのものなので、聞き流すだけではうまくなりません。本文(スクリプト)を見ながらで良いので、CDと一緒に読んでください。

読んでいるとCDから遅れてしまうことがあります。なぜかというと英語にはユニゾンというのがあって2、3の単語を合体しながら発音するということがあります。例えば、wantとtoがあって「ウォントゥー」と発音するなど。だから、話されている音と同じように発音をすることが大切です。自分で思っている発音の仕方が違うと思っても、聞こえてくるように発音しましょう。

また文章の中での強弱に気をつけましょう。例えばよく出てくるのはaとかthanなどは少し弱く発音したり、核になる単語は強く発音したりというのが文章の中には必ずあるので、そのテンションや強弱もまねして発音してください。最初は、生徒さんが恥ずかしかったり、ご家族が聞かれているとうまくいかなかったりすると思います。ご家族の方も一緒に練習されると羞恥心もなくなっていくと思うので、ぜひお子さまのために一緒に練習してみてください。

次に、いろいろな声で練習することです。今年度はアメリカ人の話者もでてきましたが、一部にイギリスや純粋な英語圏でない話者もいましたし、男性と女性の話者がいます。本屋さんにあるCDを買って、全部同じ人が話しているもので練習したとしても、その人の話す声だと理解できても、他の人が出てくると分からなくなるという人もいます。だがら、いろいろな声で練習できるほうが良いです。

ではどうすればいいんですかという質問をよく受けますが、英検®の練習を一緒にやることや英語系の雑誌、本屋さんに売っているものでいうとCNNの月刊誌などで練習してみてください。CNNの月刊誌は音源がすべて入っていて、レポーターもアメリカ圏やイギリス圏の方などいろいろな方が出てきます。月に1回買って練習するなども良いと思います。資格系でいうと、英検®を絡めてやるのはすごく良いと思います。今年担当した生徒の例でいうと、共通テストのリスニングを40点、いわゆる8割を取ろうと思う人、旧帝大や医学部、それから共通テスト試験利用の私立大学を受験する人は、英検®準1級での練習が必要です。英検®2級での練習だとリスニングで30点取れても、40点取れている人はほぼいません。だから英検®準1級の音声で練習するのがおすすめです。CNNの月刊誌のもそのくらいの英語の聞き取り能力がないと聞き取れないので、併せてやるのがベストだと思います。

最後に、問いの設定に応じて解き方を変えることです。リスニング問題では、先に問題を解いた方がいいもの、あるいは選択肢を見て正解の予想をある程度立てておいてから解いた方がいいものなど、問いによっていろいろな解き方があります。これに関しては塾の授業で、9月以降少しずつやっていくので、塾で一緒に頑張っていきましょう。

リスニングは3日坊主になりがちです。始めてもなかなか最初は聞き取れないのでやらなくなるということもあるのではないかと思いますが、配点が50点もありますし、大学によってこの50点の配点が変わることもあります。例えば、広島大学や九州大学では配点が100点になることもあります。あまり安易に考えていると他の教科の足を引っ張りかねません。だから、始めたら貫き通すことや、また羞恥心を捨てながらできれば周りの方も一緒に頑張っていただきながら取り組んでいだくことが大切です。リスニングの勉強に関しては、初めてする方も多いと思いますので、ぜひ学習相談等ありましたら、担当教師におっしゃっていただければと思います。長時間リーディングとリスニングの解説をしてきましたが、これからもぜひ鷗州塾をよろしくお願いいたします。

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