2021年05月01日
2022年度の大学入試システム
大学入試は「一般選抜」の他に「総合型選抜」や「学校推薦型選抜」もあり、入試方式が複数ある。特に、私立大学の入試方式は多種多様である。大学入試システムを把握しておくことは、受験対策の第一歩となる。ここでは、2022年度の大学入試システムについて紹介していく。
- 国公立大学と私立大学の違い
- 同じ一般選抜でも、国公立大学と私立大学ではシステムが異なる。以下に、一般選抜における国公立大学と私立大学の違いをまとめた。
- 大学入学共通テスト
- 共通テスト試験は、高校の段階における基礎的な「学習の達成度」を判定するマークセンス方式(解答番号欄を鉛筆で塗りつぶして解答し、コンピュータで採点する方式)の試験である。国公立大学だけでなく私立大学でも利用されている。
- ◆国公立大学の共通テスト受験教科・科目
- 国公立大学の共通テストの受験教科・科目は、文系は5教科8科目、理系は5教科7科目が主流である。
社会は文系には地歴公民から2科目を、理系には1科目を課す大学が多く、理科は文理ともに2科目を課す大学が多い。文系は30分の理科①(理科基礎科目)のテストを2科目受験し、理系は60分の理科②のテストを2科目受験しなければならない。よって、文系理系の負担はあまり変わらない。 - ◆英語「リスニングテスト」
- 外国語で英語を選択する人は、筆記試験の他に試験時間60分の「リスニング」を受験する。 受験生1人に1つずつ配布される個別音源機器を使用して、問題冊子に書かれた問題をマークシートに解答する方法で実施される。
- 国公立大学の入試
- 国公立大学の入試は原則として、共通テストと各大学の個別学力検査の合計点で判定する。国公立大学の個別学力検査は、前期日程と後期日程に分けて実施されることが多い。 別日程で同じ大学を2回受験することも、違う大学を受験することも可能である。また、一部の公立大学で実施される中期日程を合わせると、最大3回の受験が可能になる。 前期日程で合格して入学手続きをすると、中期・後期日程の大学を受験しても合格対象から外されてしまうシステムになっている。 募集人員の配分は前期日程が約8割と高くなっている。募集人員の比率から見ても、第一志望大学を前期日程で受験するのが基本的な受験パターンである。 また一部の大学では共通テストの成績で第一段階の選抜を行う大学があり、各大学が指定する基準以上の得点がないとその時点で不合格が決まるため、出願時には注意が必要だ。
- ◆二次試験の個別学力検査の受験教科数
- 前期日程の試験は、記述・論述式の学力試験が主流である。東京大学・京都大学のような難関大学を除いて、ほとんどの大学が1~3教科を課している。また、後期日程では学力検査の代わりに、総合問題や小論文・面接などを課す大学も多い。
- ◆難関大学では後期日程なしが定着
- 近年、「総合型選抜」や「学校推薦型選抜」の実施を前提に後期日程の廃止が認められており、前期日程のみ実施するところが増えてきた。特に難関大でその傾向が強い。東京大学・京都大学・大阪大学ではほぼ全学部で後期日程がない。廃止ではないが後期日程の定員を減らす国公立大学も多いので、志望大学については確認が必要である。
2021年度入試で後期日程試験を行わなかった大学(一部抜粋)
※2021年2月現在のものです- 東京大 ― 全学
- 京都大 ― 法学部以外
- 大阪大 ― 全学
- 九州大 ― 芸術工・教育・医(医・生命・保健)・歯
- 東北大 ― 経済・理以外の全学部
- 名古屋大 ― 医(医)以外の全学部
- 一橋大 ― 法・社会・商
- 東工大 ― 全学
- 神戸大 ― 医(医・作業療法)・経営・経済
- 広島大 ― 教育(第三類)・理(生物科学)・薬・医・歯(口腔健康-口腔保健)
- 岡山大 ― 教育・医(医)
- 山口大 ― 教育
- ◆推薦入試に拡大の動き
- 日本の有名大学は海外の大学との競争の中でグローバル化の遅れにより研究機関としての地位低下に危機感を募らせている。各大学の制度変更は従来の入試では選抜しきれなかった優秀な人材を発掘したいという意識の表れであろう。 東京大学は後期日程を全面的に廃止し、「学校推薦型選抜」に移行した。京都大学も「特色入試」として「学校推薦型選抜」や「総合型選抜」を実施し、これまでの筆記試験になかった課題を出題している。
- 私立大学の入試
- 同じ日程で試験が行われる国公立大学と違い、多くの私立大学の一般選抜は各大学でさまざまな方式や日程が用意されている。それらを自由に選択することや、同一大学・学部を違う入試方式で何回も受験することが可能である。つまり、合格のチャンスを増やすことができる。
- ◆私立大学入試の特徴
●試験日が重ならなければ、いくつでも大学を併願できる。
●複数の大学に合格しても、所定の期日までに入学手続きを行えば入学資格を失わない。
●独自の方式で入試を実施している。- ◆一般入試の受験教科・科目
- さまざまな入試方式があるが、文系・理系共に3教科入試が主流である。また、近年では1~2教科での入試方式も増えてきているが、その場合は人気が高くなり、高倍率になることがある。
≪オーソドックスな3教科入試の受験教科・科目≫
●文系:外国語、国語、地歴・公民・数学から1
●理系:外国語、数学、理科 - ◆共通テスト利用入試について
- 私立大学の一般選抜では共通テストを受験する必要はないが、「共通テスト利用入試」は共通テストの成績で合否が決まり、個別試験を行わないことが多いので、併願しやすい。受験教科も一般入試と同じく3教科の場合が多く、負担が少ないことが魅力。しかし、共通テストを受験する前に出願しなければならない大学も多いことや募集人員が一般入試と比べて非常に少ないことなど、受験生が注意しておかなければならない点がいくつかある。
- ◆私立大学のさまざまな入試方式
- ①地方受験
地方会場での試験。最近は関西や東京などにある難関大学が地方会場を多く設置している。 - ②試験日選択制
同学部・学科の試験日が2日以上設けてあり、受験生がその中から試験日を自由に選択できる入試方式。 - ③特定科目重視入試
受験生が申請した得意科目の配点にウエイトをかけて評価する方式。。 - 推薦入試
- 「学校推薦型選抜」には「公募制」と「指定校制」があり、私立大学はこの両方を採用しているが、国公立大学は「公募制」のみを採用している。「総合型選抜」は「公募制」であり、国公立大学も私立大学も採用している。 さらに、全国の大学の約9割が「学校推薦型選抜」や「総合型選抜」を実施し、定員数は今年は全体の約2割だったが、来年以降は約3割に増やすことを目標にしている。
- ◆「学校推薦型選抜」の「公募制」(旧推薦入試)
《合否判定に必要なもの》
【推薦書】
教師により学習歴や活動歴を踏まえた「学力の3要素」に関する評価
【調査書】
部活動やボランティア活動などの評価
【学力検査】
次の①または②の少なくともいずれか一つを活用
①大学入試共通テスト
②小論文・プレゼンテーション・口頭試問・実技・各教科や科目に係るテスト・資格や検定試験の成績等《入試時期》
出願:11月1日以降(従来と同じ)
発表:12月1日以降- ◆「学校推薦型選抜」の「指定校制」(旧指定校推薦入試)
- 私立大学のみに見られる推薦制度で、大学が指定した高校の生徒にのみ出願資格があり、現役生で、専願に限られる。推薦枠が少なく希望者が多い場合は校内選考が行われる。《合否判定に必要なもの》は前述の「公募制」と同じで、推薦がもらえればほぼ合格できる。
- ◆共通テスト利用入試について
- 私立大学の一般選抜では共通テストを受験する必要はないが、「共通テスト利用入試」は共通テストの成績で合否が決まり、個別試験を行わないことが多いので、併願しやすい。受験教科も一般入試と同じく3教科の場合が多く、負担が少ないことが魅力。しかし、共通テストを受験する前に出願しなければならない大学も多いことや募集人員が一般入試と比べて非常に少ないことなど、受験生が注意しておかなければならない点がいくつかある。
- ◆◆「総合型選抜」の「公募制」(旧AO入試)
《合否判定に必要なもの》
【自己PR書】
生徒自らが書く志望理由書や活動報告書
※教師による推薦書は必要ない
【調査書】
部活動やボランティア活動などの評価
【学力検査】
次の①または②の少なくともいずれか一つを活用
①大学入試共通テスト ②小論文・プレゼンテーション・口頭試問・実技・各教科や科目に係るテスト・資格や検定試験の成績等《入試時期》
出願: 9月1日以降(従来より1ヶ月遅い)
発表:11月1日以降
国公立大学 | 私立大学 | |
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特徴・概要 | 一次試験の「共通テスト」を受験して、自己採点をする。その結果を検討して、各大学が行う二次試験の「個別学力検査」を受験する。合否は共通テストと個別学力検査の合計点で判定される。 | さまざまな入試方式で複数回試験を実施する大学が多い。「共通テスト利用入試」もあるため,私立大学のみの志望でも、共通テストを受験した方がよい。 |
入試スケジュール | 1月中旬の土日の2日間で共通テストが行われる。その後の個別学力検査は2月末に「前期日程」、3月中旬に「中期日程」、「後期日程」が実施される。 | 例年1月~3月に試験が行われる。各大学・学部がそれぞれ独自に試験を行う。入試方法も多岐にわたるので、自分の志望大学の入試日程を把握する必要がある。 |
試験会場 | 【共通テスト】出願時に在籍していた高校がある都道府県の大学または高校
【個別学力検査】各大学または各大学が設置する地方会場 |
各大学または各大学が設置する地方会場 |
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