2021年05月01日
2021年度 大阪市立大学二次試験講評《国語》
文学部は120分・4題、他学部は90分・3題で、配点・問題数共に例年通り。大問1の現代文随想(『「街小説」読みくらべ』都甲幸治)、大問2の現代文評論(『自由と自律』仲正昌樹)、大問3の(A)古文(『大鏡』)・(B)漢文(『世説新語』劉義慶)がそれぞれ今年度の出題内容であった。
現代文は傍線部説明問題(大問1には120字記述がある)、古文・漢文は現代語訳・説明問題をそれぞれメインにし、各大問それぞれ相当な記述・論述量を要求する例年通りの設問内容であった。
大問1の随筆の文章量は2020年度よりやや増加した。大阪市立大学は大問1で随筆の出題が多い点が特徴であり、過去26年間で23回出題されている(残り2回は小説、1回は文芸評論)。50字程度の傍線部説明がほとんどである点で標準的な問題が多いと言えるが、最終設問は工夫が要求される難度の高い問題が出題される傾向にある。随筆の演習経験が少ない受験生が多いので、早期の記述対策で差を付けられるフィールドであるといえよう。
大問2の評論の文章量は2020年度より増加した。漢字と抜き取り問題が各1問、平均50字前後の記述問題が5問の計7問であった。記述問題の前半は局所的な換言を要求する問題が多かったが、後半の問題は設問指示が煩雑化したり、部分要旨を問う問題が出題されたりと一筋縄でいかないものが多い。
大問3(A)の古文の出典は『大鏡』、大学入試で頻出の作品である。本文分量や難易度は従来から大きく変化していないと言える。長年語句問題と和訳問題(一部説明問題)が主であり文章難易度も標準的であるため、オーソドックスなレベルの二次試験を幅広く解く中で語彙の増強と和訳ノウハウを確かに完成させることが重要であろう。国語全体の中でも高得点が計算的に見込める大問である。
大問3(B)は『世説新語』劉義慶からの出題で、難易度は昨年並。分量は2020年度より大幅に減少した。書き下しや口語訳が主であり、難易度は高いが設問誘導や注釈が多い傾向にあるので、落ち着いて情報を整理し考察を加えることで理解できる問題も多い。
全体的に、記述量が膨大で難易度の高い問題であるが、それ故に受験生の得点差が大きくなるだろう。実戦的な記述・論述解答力を確実に習得した者には、かなりの高得点も可能である。それには、何よりも比較的解きやすい古文・漢文での時間短縮が不可欠である。
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