2021年05月01日
2021年度 岡山大学二次試験講評《化学》
試験時間は60分、大問が1題減少し大問4題。基本的な内容が多く、2020年度より易化した。特に、有機化学や高分子の出題は取り組みやすかった。今年度特有の履修状況を考慮したと考えられる。
第1問は銀や亜鉛に関する問題であった。問1は基礎知識を問う空所補充問題であった。問3(1)は単位格子の一辺の長さを求める出題、問3(2)は(1)の結果を利用し、真球形状の銀の微粒子に含まれる銀の単位格子を求める出題であった。第1問の問3において,計算方法によっては、(1)の正解が2つ導き出せることが判明し、さらに,その正解の1つでは、(2)の正解が選択肢になく、解答できなくなることが判明し、(1)については、2つの正解のうちいずれかを解答している場合に正解とし、(2)については、受験者全員が正解となった。問5はトタンとブリキに関する内容を問う基本問題であった。問6は小型電池として利用されている酸化銀電池に関する出題であった。反応式は空所補充形式になっており容易に解き進めることができたであろう。
第2問は気体の溶解度、炭酸の電離平衡、中和熱に関する問題であった。問1の(2)は空気と溶解平衡に達した水を昇温することによって生じた気体のモル分率の変化をヘンリーの法則を用いて考察していく設問であり、選択肢から解答を選ぶ形式で問われた。 (3)は基本的な二酸化炭素の溶解度の計算であり、 (5)も炭酸の電離平衡に関する標準的な内容であった。問2は中和熱に関する出題であった。 (4)は、塩酸とアンモニア水を混合したときの反応熱を求める内容であり、質量パーセント濃度の扱いを間違えなければ正解できたであろう。
第3問はC13H16O4の構造決定に関する問題であった。問1は炭酸ナトリウムによるカルボキシ基の検出、問2は元素分析、問3はヨードホルム反応に関する出題で、いずれも基本的な内容であり、容易に正解できたであろう。
第4問は高分子に関する出題であった。問1は熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂に関する内容であり、重合形式の基本的な知識問題やポリエチレンの平均重合度の計算が出題された。問2は糖類に関する内容であり、岡山大学の受験者層にとっては取り組みやすい標準レベルの問題であり、ミスなく完答したい。
岡山大学の化学は例年通りであれは大問1題あたり、10分から12分程度で解く必要があるため、現役合格を目指すには、まず標準レベルの問題を速く確実に解く力を身につけることが重要である。また、2018年度、2016年度のように高度な思考力を要する問題が出題される可能性もあるため、医、歯、薬学部志望者は教科書の発展内容まで目を通し、初見の問題でも半分以上は解けるようにしておきたい。2021年度の難易度であれば、医学部志望者は9割、薬学部、歯学部志望者は8割、その他の学部志望者でも7割以上の得点率を目標としたい。
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