2021年05月01日
2021年度 広島大学二次試験講評《化学》
試験時間は理科1科目選択では60分、2科目選択では120分であった。大問数は例年より減少して3題であった。2020年度が分量も多くかなり難しかったこともあり、2021年度の問題の分量は減少し、難易度も易化した。例年出題されていた高分子に関する出題がなかったのは、コロナ禍による履修状況を考慮した可能性もあり、2022年度以降は再び大問4題になり高分子が出題される可能性も考慮したほうが良い。
大問1は理論化学と無機化学を合わせた問題であった。高校化学の最初の頃に習う「化学基礎」の内容からも多く出題されている。
大問2はカルシウム化合物に関する問1と、気体の溶解度と電離平衡に関する問2に分かれていた。問1はカルシウム化合物に関する知識と化学反応式について問われた。計算問題も出題されたが、化学反応式が書けていれば容易に解答できるものであった。問2も問題を丁寧に読んで何を求めればよいかを把握できればそれほど難しくない。
大問3はベンゼン環の配向性に関する問題がやや発展的であったが、解くために必要な知識は問題文に書いてあるので、それを読んで考察したい。後半は「構造式をすべて記せ」という設問が続き、漏れや重複がないようにすべてを網羅する必要があった。
広島大学で出題される問題の多くは基本~標準レベルの問題であるが、広範囲から偏りなく出題されるため、苦手分野をつくらないことが大切である。また、年度による難易度の差が大きいので、過去問演習を通じて、『時間配分の把握』や『解答の優先順位付け』など、実戦的な技術を身につけておきたい。近年、有機分野を中心に教科書で見かけない物質やテーマを扱う出題が増えている。多くの場合、問題文中に考え方や解法のヒントが示されている。高得点が要求される医学部医学科志望者は、標準レベルの問題を確実に正解する力を養うとともに、旧帝大レベルの過去問演習を行い、難問に慣れておきたい。
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