2021年05月01日
2021年度 神戸大学二次試験講評《物理》
試験時間は理科2科目で120分。大問は3題で、全ての設問で導出過程が問われることに加え、問題文中に与えられた物理量の文字の他に、解答に必要な物理量の文字を各自で定義することを要求される場合もある。
2021年度は分量が増え内容も難しくなった。「力学」、「電磁気学」、「熱力学」の各分野から1題ずつ出題された。難易度は基本から応用レベルまで幅広く、各大問ともに後半は難度がとても高くなるため、比較的平易な前半で確実に得点したい。また、導出過程を要求される設問もあり、記述が苦手な受験生は時間が足りなかったであろう。
大問1は、ばねを用いた円錐振り子の出題であった。問1ではcosθが分母にあるグラフをかき、問4ではcosθに関する2次不等式を解くことになり、困惑した受験生も多いだろう。問2と問3は確実に解答したい。
大問2は平行平板コンデンサーに導体を挿入する出題であった。問1~問3は頻出の問いであり、容易に解答できたであろう。問4は問3で描いたグラフを利用することになるが、難しかったと思われる。また問5では、コンデンサーの左側の極板は電荷が保存され、右側の接地されている極板の電荷が変化することに気づく必要があった。
大問3はシリンダー内の単原子分子理想気体に関する出題であった。与えられていない気体定数と物質量を自分で定義し、最終的な答えにはそれらを含まないように答えなければならない。問2と問3は、状態BからCが定圧変化であることがわかれば解答するのは容易である。問4はピストンにはたらく力のつりあいの式と、ボイルの法則による式を連立すればよい。
神戸大学物理の対策としては、標準的な問題を一つずつ丁寧に理解しながら進めていくことが肝心であるが、余裕があれば難問にまで取り組んでおくほうがよい。数式だけでなく図を描いて基本事項を正しく理解し、問題で問われている物理現象について、どのような物理法則が成立しているのかを意識していく必要がある。
また記述力をつけるために、普段から記述を意識した問題演習が必要である。今年度は出題されていないが、過去には「運動量が保存する理由を説明せよ」という記述問題が出題されたこともある。公式を使うだけでなく、公式が使える条件や成り立つ理由についても普段から意識しておきたい。大学のホームページに掲載される出題の意図は必ず確認しておこう。
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