2021年05月01日
2021年度 大阪大学二次試験講評《物理》
試験時間は理科2科目で150分、大問数は3題で例年通り。大問1は力学、大問2は電磁気が出題された。大問3は、2016年度までは力学と電磁気以外の分野から1題出題されていたが、2017年度以降は異なる2単元が1つの大問中で独立した内容として出題されている。
大問1は地上から衛星までをワイヤーでつなぐ出題であった。前半はワイヤーの質量を無視するため容易だが、後半はワイヤーの質量があり考えにくかったかもしれない。しかし、問題の誘導が非常に丁寧なため、何をしたらいいのかわからないということはなかったであろう。文字で割って変数を減らしたり、Σ計算をしたりと数学的な力が要求される出題であった。
大問2は送電の仕組みについての出題であった。初見の受験生は焦ったかもしれないが、この大問もまた、誘導が丁寧で取り組みやすかったであろう。交流電圧に対する電流の位相のずれについてもグラフで与えられており、最小値を求める問いでも相加相乗平均を用いる旨が記載されている。問7の数値計算は単位に気を付ければ比較的簡単な計算で求まる。
大問3Aはゴム風船を、ばねとピストンでモデル化した出題であった。途中から何をしたらいいのかわからないとなった受験生も少なくないだろう。問5のグラフも数Ⅲ範囲のグラフであり難しい。この大問が最も解きにくく、合格した受験生でも完答するのは難しかったと思われる。
大問3Bはボーアモデルのような出題であった。問(a)は荷電粒子にはたらく力が kr であることから、弾性力と同じようにして位置エネルギーを考えることができる。それ以降は誘導に沿っていけば特に悩む問題はなかった。
大阪大学の物理は分量も多く、また計算も煩雑でたくさんの変数が登場することも多いので、高いレベルの計算力が要求される。とはいえ、取り分け難しい設問は医学部を除きあまり合否に影響はないので、標準レベルの問題を取りこぼさないように慎重に解き進めるようにしたい。
2021年度の試験では、文部科学省からの通達を受け「感染症に伴う休校を考慮した試験にする」としていたため、交流や原子が出題されたが誘導が非常に丁寧であった。
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