2021年05月01日
2021年度 京都大学二次試験講評《日本史》
試験時間は90分。大問4題で、大問1から大問3までは語句記述問題(小問数70)、大問4は200字の論述が2問と、例年と変化なし。古代~現代の全時代、政治・経済・外交・文化と各ジャンルがバランスよく出題されていたが、現代史の出題はほぼなかった。世界史同様にコロナ禍の影響からの配慮だと思われる。
第1問は、例年通りの史料問題。A.「壬申の乱と『古事記』編纂」、B.「守護の職権・承久の乱後の処理」、C.「福沢諭吉君と新島襄君」に関する史料の空欄語句補充、設問への語句記述・短文説明。
A.(1)は壬申の乱の際に大海人皇子が挙兵した際に東国の豪族と結託したことを想起して、“東”を解答、(4)では「清原大宮」の北西に建設された新たな都が“藤原京”であることを判断し、それまでの都になかった特徴の説明を求められた。
B.(9)では「大番催促」について、(12)では「勲功の奉公」について簡潔に説明させる問題。
C.(15)は史料内に「…西洋事情・学問の勧め・文明論の概略…」とあることから“福沢諭吉”を判断し、(17)(あ)では五榜の掲示で明治政府は「基督教」にどのような方針を示したかを記述させた。決して難易度の高いことを求められている訳ではないのだが、京都大学の問題形式に慣れていないと必要以上に時間がかかってしまうだろう。
第2問は、原始~近代の総合問題。①旧石器時代の狩猟、②完新世の植生と縄文時代、③弥生時代の争い、④磐井の乱、⑤平安時代の文学、⑥蒙古襲来と竹崎季長、⑦惣村の自治、⑧室町時代の同朋集、⑨自由民権運動の演説会、⑩沖縄戦と「慰霊の日」に関する空欄語句補充問題。沖縄戦の組織的戦闘が終わったとされる「慰霊の日」がテ.“6月”23日であることを求められた以外は、基本事項で構成されていたため正確な語句知識をミスなく解答できるよう努めたい。
第3問は、古代・中世・近世の政治・社会経済・文化に関する問題。A.菅原道真に関する政治・外交・文化、B.室町幕府と京都、C.江戸時代の畿内農村に関する設問。A.(2)国司などの官吏を任命する政務で“除目”、B.(11)足軽による応仁の乱での略奪風景を描いた絵巻物で“真如堂縁起絵巻”を解答するのは難しかった。それ以外は標準的な問題で構成されていた。
第4問の(1)「徳川家綱の時代がどのような時代であったのか」を論述させる問題。条件として「政治を中心に他分野の動向もふまえ」とある。教科書にも記載されていることだが、この家綱・綱吉期に「幕藩体制が安定した」ことが最大の特徴のため、このフレーズに到達できるように論述を構成する。
(2)「第一次世界大戦中から太平洋戦争の開戦までの日本の中国における勢力拡大が日米関係に与えた影響」を論述させる問題。時系列を意識しつつ日本の中国での勢力の拡大を軸に、日米関係に関連する情報を組み合わせていく。200字以内のため、時期区分と文章表現をコンパクトにまとめていく必要がある。
上記からも明らかだが、京都大学の日本史は70点分の語句記述問題で構成されており、30点分の論述問題も語句の知識を前提に組み立てていく必要がある。志望する受験生はまず、正確な語句知識を漢字で書けるようにすること、過去問研究は当然ではあるが同時に私立大学の入試問題等を使用してさらに知識を深めていきたい。
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