2021年05月01日
2021年度 京都大学二次試験講評《英語》
2021年度は2020年度同様、大問数は4題で、英文読解問題が2題、英作文2題であった。2020年度からの大きな変更点としては、大問1で全問が下線部和訳問題となり、大問2においても1問は内容説明問題であったが、下線部和訳問題が2問出題されたことである。
(1)の下線部和訳問題は、分詞構文や副詞節の修飾先に注意を要する問題であった。またthe universalとthe accidentalの対比を意識した訳出や、Hence justificationの訳出に工夫を要する出題であった。
(2)の下線部和訳問題でも、upとdropの対比の理解や、rubberyという単語を後のeasy to shapeに合わせて訳出に工夫しなければならない問題が出題された。
(3)の下線部和訳問題は、clinch a deal「契約をまとめる」という難解な表現や、ifのみで「たとえ~でも」と譲歩の訳出を要するなど文脈理解が要求される出題であった。
大問2の(1)の内容説明問題は、「文章全体から判断して」「『種の起源』が大きな影響力を持った要因」を「第2パラグラフ」から「Lewesが最重要視しているもの」を選び日本語で訳出する問題であった。新傾向の問題ではあったが、指示内容に注意すれば該当箇所の特定にはさほど苦労は要しない問題であった。
(2)の下線部和訳問題は、1文69語という長い英文を和訳する問題であった。語彙は比較的標準的であったが、全体構造の把握に注意を要する問題であった。
(3)の下線部和訳問題は、(2)同様、語彙はそれほど難しいものではなかったが、構造が複雑で、内容がつかみにくいので苦労した受験生も多かったであろう。
大問3は和文英訳問題であった。例年通り、「転ばぬ先の杖」や「円熟味が増す」、「(困難を)乗り越える大きな武器になる」のように日本語に相当する英語表現を考えるのに工夫を要する出題であった。
大問4は、対話文の空所に指定語数の1文を英作文する問題であった。自由英作文については毎年出題形式が変わっているものの2018年度とほぼ同形式の出題であった。文脈を読み取る必要があり、特に(3)(4)は内容面での連動性を考慮する必要があった。昨年度に比べて大問2の英文量が約90語増加したことから若干難化したと考えられる。
抽象度の高い英文の出題が多く、記述量が多い京都大学英語では、基本的な語彙力と構文把握力を身に付けておくことはもちろん、個々の部分を文脈の中で解釈する力や、読み取った内容を自然な日本語で表す力を身に付けておくことが必要となる。
さらに今年は下線部和訳問題の出題が多かったが、今後は内容説明問題の出題も予想されることから、バランスのとれた学習も必要となる。英作文問題では、字面の安易な逐語訳ではなく、日本語をしっかりと読み込んだ上でその内容をかみ砕き、自分が使いこなせる語彙で表現することが必要になる。
さらに出題形式が固定されていない自由条件英作文対策としては東京大学の過去問を参考にしながら、様々な形式に対応する演習も重ねておきたい。どちらにせよ自分の手を動かして訓練を積むことが、京都大学英語攻略の鍵となるであろう。
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