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2021年04月27日

2021年度大学入学共通テスト《倫理、政治・経済》

試験時間は60分。大問数は5から7へ増加したものの、設問数は昨年の33問から変化はなく、倫理と政治・経済分野の配点はこれまで通り50点ずつであり、両者ともほぼすべての単元がまんべんなく問われていました。大量の文章を読み、それを踏まえて答えさせる問題が多く、一問あたりの解答時間はこれまでのセンター試験と比べて格段に増加しました。また、初見の用語が説明され、それを踏まえた上で解く問題があった点も特徴的です。

注意する点は、政治分野の定番であった統治機構(国会・内閣・裁判所)の出題が減り、法や民主主義の原理についての出題が多くなった点です。重要用語をひたすら覚え、答えるだけの学習では太刀打ちできません。また、ストレートに知識が問われる箇所が少ないながらもあり、中には細かい知識が問われるものがあった点も見逃せません(特に政治・経済)。

《第1問》源流思想
「恥」をテーマにした高校生の会話をベースにした形式となった。問1はペテロやカリフなど細かい知識を求められる選択肢がみられました。問4は小問内の資料とリード文の内容を踏まえて答える点が真新しいが、大問全体としての難易度は高くないです。

《第2問》東洋(日本)思想
問2で資料集に掲載されるような絵に基づいた出題がされた点が特徴的でした。問4は純粋に知識が問われる設問でしたが、小林 秀雄・吉本 隆明など、やや難しい人物名が並んでいたこともあり、正解は難しかったでしょう。とはいえ、大問全体としての難易度は高くないです。

《第3問》西洋近現代思想
ところどころで文章読解を踏まえた出題はされたものの、デカルト・ルソー・キルケゴールなど倫理分野の王道ともいえる出題がされたこともあり、ぜひ得点したい大問でした。

《第4問》現代社会分野(青年期)
問3では、「ベンヤミン」という受験生にとって初見と思われる人物の文章を読み、それに基づいた生徒たちの会話を踏まえて解く問題で、「読解力・情報整理力」が求められました。冷静に対処できた生徒にとっては、解答は難しくなかったと思われます。

《第5問》民主主義と日本国憲法
問1は公法と私法に関する最高裁の判決文にもとづいた出題。文章をよく読まないと「団体自治」という語句につられてしまったかもしれません。問2は改正民法や改正貸金業法の正誤を問うもので、時事問題の要素が強く、難易度は高いです。その他の小問においても、求められる知識が細かく難しい大問でした。

《第6問》現代経済
問3では国家の歳入と歳出が書かれた表をもとに、国債残高・プライマリーバランスを計算で求めさせる出題がされました。きちんとした学習をしていれば解答は容易ですが、対策が手薄になりがちな分野です。問4では、銀行のバランスシートと説明文を踏まえ、不良債権と資本金について考えさせる出題がされました。面食らった生徒も多いと思われますが、理屈が分かれば解答はできます。総じて、実生活での事例に絡めた出題がされたのが特徴的な大問でした。

《第7問》先進国の発展途上国への支援
問2では、日本の累積援助額が高い東南アジアの国々をテーマに、電力発電量・平均寿命・栄養不良の人口割合の推移をグラフで問う出題がされました。多くが読解力を求められる小問で構成されていましたが、解答時間があれば正解にたどり着くのは容易な大問でした。

以上のように、倫理、政治・経済の学習を行う際には、学習した語句がさまざまな角度から問われる点を意識することが重要です。特に、経済分野では「なぜそうなるのか」という視点を常に持ち、それが日常生活に与える影響を考える習慣をつけるべきでしょう。また、政治・経済は設問および選択肢の分量が倫理以上に増加しました。キーワードだけを押さえた学習ではなく、即座に文章を読み取り、そこから導き出される結論を自分の言葉で表現することも心がけましょう。

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