2021年04月24日
2021年度大学入学共通テスト《物理》
試験時間は60分。大問数は4題で選択問題はなく、すべて必答問題でした。共通テスト試行調査通りの大問構成。これまで、原子物理は選択問題となっていたため、学習していなくてもある程度解答できましたが、今年度は選択問題がなかったため原子物理も必答で、対策が必要でした。
分野ごとの配点は、力学が30点、電磁気が30点、波動が21点、熱力学が5点、原子物理が14点でした。力学と電磁気学が30点ずつという配点は、これまでのセンター試験と変わりませんが、前述したように原子物理が必答でかつ配点がそれなりにあることに注意が必要です。
《第1問》小問集合で、慣性力、滑車によるつりあげ、金属板間の電位、ドップラー効果となり、理想気体の断熱変化と等温変化が出題されました。特に新傾向ということもなく、典型的な出題でした。
《第2問》電磁気学で、Aはコンデンサーを含む直流回路の出題でした。スイッチを閉じた瞬間と閉じてから10分後の違いを正しく理解できていれば、解けたでしょう。また、求めた答えを有効数字2桁で表す問いが2問あり、30Ωを3.0×101Ωと答えさせるなど、受験生は不安になったと思います。
Bは、磁界中を動く導体棒の出題でした。導体棒の抵抗が「単位長さあたり」と記載されていることを見落とさないよう注意が必要です。最後のグラフの問いは、どの選択肢も速度が一定になっていることから、導体棒にはたらく合力が0になっている、すなわち電流が流れなくなっていることから、2つの導体棒に生じる起電力が打ち消し合っていることに気づき、問5から運動量保存則が成り立っていることにも気づきたいです。
《第3問》Aは光波の出題で、ブリリアントカットのダイヤモンドがよく輝く理由を考えるものであした。見慣れない問いでしたが、説明が十分にされていて、落ち着いて読めば解答できたでしょう。
Bは原子物理で、そこまで難しい問いではありませんでしたが、原子物理の勉強が不十分だった受験生は悩んだと思われます。原子物理の見た目をしていますが、力学での衝突の問題のように考えれば良いです。
《第4問》力学で、斜方投射、運動量と力積に関する出題でした。一見すると新傾向の問題のように見えたかもしれませんが、問われていることはそこまで難しくなかったです。最後の問いは会話文形式でしたが、会話文はとても短く、惑わされるような要素はありませんでした。
難易度は2020年度のセンター試験よりやや難化しました。また、生物が簡単だったこともあり得点調整が行われました。問題文を丁寧に読まければ把握できずミスをしてしまう出題が増え、見た瞬間に即答できる出題が減りました。文字式ではなく、数値計算をさせる問いもありましたが、煩雑な計算ではなく、単に選択肢ありきの解答を嫌っただけのように思われます。
身近な題材を基にした初見の問題への対応力を養うためにも、普段の学習から単に解答を出すだけに留まらず、問題演習を通じて立式の根拠となる発想を理解し、物理的な考え方を身につける訓練を行うことが必要不可欠です。そして、それこそが、どのような出題にも安定して高得点を取るための唯一の方法です。
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